数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

「受験算数」の定番幾何問題?

受験算数を習っている小学生ならば、あっさりと正答だけは導けるかもしれません。

しかし、「なぜそのように計算すれば正答が導けるのか」ちゃんと説明できますか?


【問題】

図のような長方形(20×12)の、各辺上の4点を結んでできる四角形PQRSの面積を求めよ。


“論理的思考力をしっかりと備えた”小学生ほど悩む可能性がある問題です。

一方で、ちょうど今頃の中3生に是非取り組んでもらいたい練習問題でもあります。

大人の方も是非解いてみてください。


【解説】

受験算数を学んでいると、
「四角形PQRS=(20×12-10×4)÷2」 (*)
機械的に解いてしまう子が多かったのではないでしょうか。

しかし、その計算で本当に正しいのか説明できますか?

説明できないならば、「受験算数」を学ぶ過程での、いわば“過度なパターン練習の弊害”が見え隠れしている可能性もあります。


受験算数で出題される場合は、
「“四角形EFGHが四角形PQRSの内部に含まれている”図」
になっているはずです。

そうであれば、(*)式のような計算で求まる原理も、頭の中だけで理解することも難しいことではありません。


しかし本問では、
「“四角形EFGHが四角形PQRSの内部に含まれていない”図」
となっています。

よって、論理的思考力がしっかり備わった“慎重な小学生”(本来あるべき姿ですが…)は、
「(*)式のように求めてしまっていいのか?」
と悩むはずです。

(※要望があれば、小学生用に解説します。)



【中学生編】
基本に忠実に、未知数を設定して方程式を立てて解いてみるべきでしょう。


この場合、横と縦の両方向に、つまり二つの未知数を設定する必要があります。

ということは、方程式も二つ必要になり、悩んでしまいますね…。

しかし、まずは強引にでも前に進んでみましょう。


DP=x ,DS=y と設定すると、

四角形PQRS
=四角形ABCD-(△DSP+△CRS+△BQR+△APQ)
=20×12-{xy/2+(x+10)(12-y)/2+(10-x)(8-y)/2+(20-x)(y+4)/2}
=240-140
=100

となり、きれいにx,yが消えて面積が求まってしまいます。


結果的には、方程式を二つ立てる必要はなく、「中3・展開計算の練習問題」となります。


※なお、中3生ならば、上記の原理は「三角形の合同」を用いて証明できるはずです。