数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

図を描き直そう!

入試問題に取り組む際に、
「与条件とは明らかに図が異なる場合」
または、今回のように
「ミスを誘うような図の場合」
は、
“わかりやすい大きな図”
に躊躇せずに描き直しましょう!


例えば、下記のような問題でみていきましょう。

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【問題】
直径AB=25/2の円Oの周上にAB⊥CDとなる点C,Dをとる。
直線ABとCDの交点をHとすると、AH:CH=4:3となる。
∠ADCの二等分線と直径AB,円Oとの交点をE,Fとする。
(1)AC=?
(2)EH=?
(3)DE:EF=?

(答え; 10, 3, 6:5)


この問題では、
「EとOが一致しているかのような図」
が与えられているところがクセモノです。

もちろん、
「初期設定では異なる2点が各小問の設定によっては一致する」
ような問題はよくあります。

しかし本問の条件では、
「一致しない」
ことが次のような考察からわかります。


まず、直径ABと弦CDが直交するので、
△AHC≡△AHD
となり、
AC:CD=5:6
とわかります。

よって△ACDは正三角形ではありません。

ということは、
外心Oと内心E(∵∠Aと∠Dの二等分線の交点)は一致しませんね。
(※正多角形ならば外心と内心は一致します。)


となれば、
多少図がいびつになったとしても、
「EとOが明らかに異なるような図」
に描き直すべきです。

「EとOが異なる2点」
だと最初は注意していた人でも、問題を解き進めているうちに図が汚くなるなどして、いつの間にか
「一致した2点」
と勘違いしたまま計算を進めていた…、ということはよくあります。

そのような、悔やむに悔やまれないミスを犯さないために、図を描き直しましょう。


【解説】

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(1)
ACH∽△ABC(3辺比3:4:5)より、
AC=25/2×4/5=10

※図を描き直さなかった人はこの(2)以降をおとす可能性が高くなります。
(2)
△ADHにおいてDEは∠Dの二等分線なので、
AE:EH=DA:DH=5:3とわかります。
よってEH=AH×3/8=3

(3)
まず(1),(2)より
AE=5、EB=25/2-5=15/2
△EDHで三平方よりDE=3√5

△AEF∽△DEBに着目して
5: 3√5=EF:15/2より
EF=5√5/2
(相似関係をしっかり把握できているならば“方べきの定理”で求めても構いません。)

∴DE:EF=3√5: 5√5/2=6:5