数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

ちょっとオモシロイ「倍数の個数」問題(2020桐蔭)

何はともあれ、まずは解いてみましょう。
当然、かける時間はできるだけ少なくするようにしましょう。


【問題】
1~9の数字が書かれたカードが1枚ずつある。
この9枚のカードから3枚を選んで左から並べて3桁の整数をつくる。
(1)4の倍数はいくつできるか。
(2)3の倍数はいくつできるか。


(答え;112個,180個)



順番に列挙していけば当然求められますが、入試と想定して
「どう解くのが一番楽か」
を考えてみることに意義があります。



【解説】
(1)
数学に関しては“姉の軍門に下ってしまった”弟は、今では何の負い目もなく質問している。
「どうしてもこの問題の答えが合わないんだけど、なぜだかわかる?」

姉は弟の解法にサッと目を通すと、
「そもそものアプローチが、まず良くないんだよなぁ…」
とケチをつけた上で、
「まだ、同じ数字が含まれる場合をカウントしてしまっているでしょ!」
「あ!そうだった…」

弟くんの解き方は、
「3桁の4の倍数から題意に適さないものを取り除く」
方法だった。

1000と100で相殺されることを前提として、
「1000/4-100/4=225個」
と3桁の4の倍数の総数をまず求めておいて、
「“数字0”を含む4の倍数の個数」
を引いていたのだった。

これでは、例えば116や444などの4の倍数もカウントしてしまっていることを、姉は指摘しているのである。

姉だったら、どう解くのだろうか…?
「素直に倍数判定法を使った方が楽だって!」


確かに、“0を含む場合”や“同じ数字を含む場合”の4の倍数は、全ての桁に目を配る必要があるので、数え上げる際にミスを犯しやすい。
一方「倍数判定法」だと、下2桁のみに着目すればいいので、楽かもしれない。

「つまり下2桁が、
12,16,24,28,32,36,48,52,56,64,68,72,76,84,92,96
であれば、題意を満たす4の倍数になるから…」
「百の位にくる数字は各々7通りでしょ」
「そうか、16×7=112個と簡単に求まるね!」


(2)
「てことは、この問題も倍数判定法でやるべきか…」
「まぁ、そうだろうね」
「各桁の数字の和が3の倍数となればいいから、
和が6,9,12,15,18,21,24
の場合を数え上げるのか…」
「素直にやろうとすると、大変でしょ?」
「うん、この方法だとめげちゃうなぁ…」
「だったら、工夫しなきゃ!“倍数か否か”が判定基準の場合は、どうするんだっけ?」
「“余りに着目”、だよね…」


姉が示唆しているのは、“合同式的な考え方”である。

1~9の整数で、
“3で割って余り0”となるのが、{3,6,9}
“3で割って余り1”となるのが、{1,4,7}
“3で割って余り2”となるのが、{2,5,8}
となる。

ここで、
「3つの数の和が3の倍数」
となるのは、
「“余り0”となる数が3つ」、
「“余り1”となる数が3つ」、
「“余り2”となる数が3つ」、
「“余り0,1,2”となる数が各々1つずつ」
の4パターンである。

よって、順に、
6通り、6通り、6通り、3×3×3×6通り
となるので、
∴6+6+6+162=180個


「さすが姉貴!」
「整数の扱い方に慣れましょうねぇ、僕ちゃん!」