数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

立方体の辺上の経路(2020城北)

「お兄ちゃん、何回数えても、そのたびに回数が違ってくるんだけど…」
「ちゃんと系統を分けて、一つずつ順番に数えていってごらん。」


小学生でも、じっくり時間をかけて考えるならば、ほぼ全員が正しく答えられるでしょう。

しかし、ちょっとそそっかしい妹のように、なかなか正解にたどり着けない場合もあるかもしれません。

それは、
“論理的な絞り込みに甘さがある”
証拠ですから、今から地力をつける努力を続けましょう。

“素早く正確に”解ききってこその練習問題ですから、そのつもりで臨みましょう。


【問題】
下図のような立方体の辺上を、同じ頂点を通ることなく頂点Aから頂点Gまで進む方法は全部で何通りあるか求めよ。

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(答え;18通り)


【解説】
「立方体は正多面体だから、AからB,D,Eに移動した後の経路は“同じように”考えればいいのはわかる?」
と、兄はサイコロを持ってきて、妹の目の前で回しながら説明してあげました。
「…そっかぁ、じゃあBからGまでの経路だけを数えればいいのね!」


まず念頭においておくべきは、
“立方体の対称性”
です。

これを利用することで、全ての場合を一つ一つ数え上げる必要がなくなりますね。

さらに、経路問題は、
“模式図化”
して考えると、数え漏れなどを防ぎやすくなります。


このくらいならば、立体のまま考えていっても構わないのですが、今後への応用を考慮して、下図のような模式図で考えてみましょう。

f:id:booterpig:20200810125859j:plain

「AとGは立方体の中心(重心)に関して対称な位置」
にあるので、上図のように模式化すると考えやすくなります。


まず、
「A→Bのルート」
で考えると、右回りで、
「→C→G」
「→C→D→H→G」
「→C→D→H→E→F→G」
と、左回りも同様に、
「→F→G」
「→F→E→H→G」
「→F→E→H→D→C→G」
の6通りありますね。

ここで、対称性から、
「A→Dのルート」
「A→Eのルート」
でも各々6通りあることがわかりますね。

∴6×3=18通り



※難関校の問題においても、上記と同様の“模式図化”を行うことで簡単に解くことができましたね。
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2020/06/02/230833



なお、解き方に関して質問があればお答えします。
(※「承認制コメント」ですので“要望がない限り”コメントそのものや質問者名は非公開とします。)